
KiLA “Glanfaidh Mé”
古代ヨーロッパの謎の民、ケルト人をルーツに持つと言われる国、アイルランド。
音楽に溢れた街として名高い、その首都・ダブリン発、あらゆるジャンルを飲み込んだ超絶音楽集団、KiLA(キーラ)。

かつてケルト人は、単一的なものや定められた領域ではなく、二つの異なった世界が出会う、中間の領域を神格化していた。
海と空の間の霧、昼でも夜でもないトワイライト、草と木の中間生物である宿り木といった、境界的な自然を崇拝していた。
そうした宇宙のなかで、人の意識はつねに流れゆくものであり、変容を続けることこそが摂理であるとしていた。
「アイルランドへ行きたい」(新潮社 刊)
深谷哲夫 リチャード・ホートン 月川和雄 共著 より抜粋
アイリッシュ・トラッド、アフリカン・ビート、ファンク、ジプシー・ミュージック、トランス、プログレッシブ・ロック、アイヌ音楽。
ルーツがそうさせるのか。
彼らの音楽に定められた領域などは、ない。
夜空に浮かび上がるベース・ライン/群生する裸子植物/巨石/
円軌道で叩かれる太鼓/闇を彩る閃光/吹き鳴らされる笛/
ギネス・ビールのこんもりとした泡/焚き火/笑顔/銃声/
ひなげしの花/国境警備兵/砂をためたラクダのまつげ/
ギターケースに投げ入れられたコイン/白鯨/やけどの痕/
血染めのダイヤモンド/E=mcの二乗/初恋/
大瀑布のもうもうと立ち上る水煙/みつばちの羽音/
「上下線とも、5kmの渋滞です。」/散骨/ラム肉のシチュー/
色即是空/アウトソーシング/にせ預言者/てんとう虫/
敵対する部族の娘/うがい薬/永久凍土/
うさぎの鼻の「ヒクヒク」/革命/
ペットボトル/国/素粒子/
メロディ/銀河/リズム/
心/宇宙/
鼓動
人と、人以外のもの。
すべてが躍動する、森羅万象の宴(うたげ)。
その恍惚の体験(エクスペリエンス)。