<< FLOAT | main | ふれた指の温度 >>
イイことしないか?
 
「何をはずかしがっているんだい? 君だって、イイことしたいんだろ?」

「だって、先生… 私…」

「大丈夫、僕が教えてあげるから。例えば、こう」




  ずぶぬれで交通整理してるおじちゃんに、そっと会釈。

  「お疲れさんです」



  買い物帰り、おばあちゃんを乗せたまま、ちょっとドライブ。
  彼女がむかし住んでいた街へ。

  「ここの本屋さん、おじいさんとよく来たのよ。まだやってるのね」



  ベランダで、図鑑片手に夜空を見上げて、子供といっしょに星座さがし。

  「おとうさん、こっちこっち。もー、ぜんぜんちがうじゃんかー」



  ネット通販で妻に届ける、再販されていた思い出のCD。

  「あら、私あてに荷物? 何か頼んでたかしら」






「イイよ。すごくイイ」


「先生、わたし、もっとイイことがしたいです」


「ああっ! 君がそんなに積極的だったなんて!」


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