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ジズス(6)

 


いつものように、ヴィゴの部屋から女の声が聞こえていた。




ヴィゴの元に集められた女たちは、まず、彼の査定を受ける。
常連向けのお披露目会に向けて、連日、彼の部屋には女たちが届けられていた。
仕事で訊ねたいことがあったが、自室に戻って扉を閉めた。




夜中に、車が出て行く音で目が覚めた。ヴィゴは出かけていったようだった。
水を飲もうと起き上がると、ヴィゴの部屋のドアが開いているらしく、廊下に女のすすり泣きが漏れ出ていた。
私は戸惑い、しばらく部屋でじっとしていたが、押し殺したような泣き声を聞いているうちに、胸が苦しくなってきた。
立ち入るべきではないと思いつつも、廊下に出て、そっと兄の部屋をのぞいた。




暗いランプに照らされた裸体。ベッドに沈んだ女の背中。
乱れた髪と、細い体に貼り付いた陰影が、嗚咽に合わせて上下している。
ベッドの四隅から伸びたロープ。彼女はうつぶせの格好で、両手両足を縛り付けられていた。




私は息を飲んだ。
縛られた手首の先に、象牙色の手袋。




水色のミトン。
雪の日の倉庫。
君の手のひら、君の笑顔。




私は部屋を出た。何かが飛び出してしまいそうで、口を押さえた。
自室に戻ってドアを閉め、頭から毛布をかぶった。
全身が震えた。吹き出る汗が止まらなかった。
怒りとも恐怖ともつかない、混沌とした感情の濁流に飲み込まれ、私はそのまま気を失ってしまった。


 

ジズス(7)



 

 

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