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対談 浅田弘幸×大森暁生(2)

 

 

 

 

浅田弘幸×大森暁生トークライブ at D.B.Factory

花の咲く場所 -Flowers Always Bloom Somewhere-

 

 

 

 

 

去る2017年5月4日に開催した、

漫画家・浅田弘幸さんと、彫刻家・大森暁生さんのトークイベントの模様を
全10回にわたってリポートします。

 

 

 

司会・テキスト 大塚茂之(Cafe Swordfish)

写真 縣 ケンジ/ AGATA Kenji ※記事中、表記のないものすべて

 

 

 

 

 

 

第2回 義眼神父と火の頭蓋


 

 

 

イベントの準備に追われているうちに、気がつくと初夏と言われる季節になっていました。

ゴールデン・ウィーク中の開催とあって、遠方からも沢山おいでくださっている観覧席には、陽気のせいか、すでにTシャツ1枚の方も。

昼間の開催ではありましたが、飲み物のメニューにビールを用意しておいてよかったなあと思っていたところ、イベント終了後、実はそのほとんどが手付かずで残っていたことがわかりました。

な、なぜ!?

 

 

 

 

後から聞いたお客さんの声によると、周りを見渡したら誰も呑んでいる雰囲気じゃなかったのでやめておこうと思ったそう。ある方はドリンクチケットでビールはもらったものの、トーク中に「プシュッ」と音を立てることが憚られて、結局最後まで手に持ったままだったとのこと。

手の中でどんどんぬるくなっていくビール! なんという穏やかな絶望!

 

 

 

 

イベント自体、もっとフランクな感じで楽しんでもらえたらと思っていましたが、その辺を伝えきれなかったのは私のミス。

申し訳ありせんでした。

※残ったものは後でスタッフがおいしくいただきました。

 

 

 

 

さて、第一回目だった前回は、お二人が出会うことになった経緯と、それぞれの仕事場を訪問した時のことなどを伺いました。

お好きなものも近く、多くの共通点を持たれているお二人。人生の岐路となったお仕事に関しても、同じ人物の名前と、10年前に解散した、とあるアパレルブランドの名前が上がったのでした。

 

 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □

 

 

【司会】

先ほど「ケルト&コブラ」という言葉が出ましたが。

「ケルト&コブラ」というのは、ブランキージェットシティというロックバンドのベーシスト、照井利幸氏がデザイナーをやっていた、洋服のブランドで(2007年解散)、私(大塚)はそこに在籍していたっていうご縁で、お二人と知り合わせていただいて。

まず、浅田さんとは、その照井さんとのコラボレーションとして漫画を発表されていたっていうのが、そもそものきっかけでした。

 

 

 

 

(浅田さんの画集『WATER』の巻末に収録された、照井利幸×浅田弘幸の作品ページを開いて、観覧者にお見せする。ケルト&コブラの服を纏い屋根のない車に乗る男が、とある街角で少女と出会い、それまでたった一人の家族だった義眼の神父が眠る場所に訪れる)

 

 

 

 

「心が美しいのさ…………分かるか?」義眼神父 ヴェレネール

 

 

 

 

 

 

 

 

【浅田】
これ、元々は雑誌の企画で、アパレルとコラボで、その洋服を着たキャラクターをイラストに描こうっていう企画だったんですけど。

 

 

 

 

 

(筆者注:以前、浅田さんから聞いたお話だと「それだったらケルト&コブラが描きたい!」と本人が希望なさって、編集部の方からオファーされた模様)

 

 

 

 

 

【浅田】

それをお願いに行くっていう時に……ケルト&コブラじゃないですか。照井利幸さんですよ。

(会った際に)自分のあるものをもっと強烈に出さないといけないんじゃないかというお話をさせていただいて。

照井さんも、「浅田くんの今までの人生の中で一番誇れるものを描いてくれ」と。

 

 

 

 

 

【司会】

おお、それは。

 

 

 

 

 

【浅田】

それだったら僕には漫画しかないんで、イラストではなく漫画を描きたいですと。そういう話をさせていただいて実現した企画です。

 

 

 

 

 

【司会】

なるほど。

 

 

 

 

 

【浅田】

仕上がった時の気持ち良さ、自分がこの先どこへ向かおうかということも含めて、この仕事は自分のキャリア的なキーポイントになりましたね。それにこの時につながった人や出来事が、今も強く効いてるなというのをとても感じてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

(筆者:補足)

それから数年後、画集『WATER』に件のコラボ作品を収録されるにあたって、浅田さんから照井さんに改めてその許可を得たいとの連絡を、たまたま私の方にいただきまして、メールで本人に連絡をとりました。

その返事がごく短いものながら、まるで映画の中のワンシーンのように粋だったので、さすがはボス! と唸りながら、そっと浅田さんに転送したのでした。

 

 

 

 


件のコラボ作品が収録された浅田さんのイラスト集『Water』

(集英社 刊)

※筆者私物の写真です。

 

 

 

 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □

 

 

【司会】

大森さんとは、10年以上前になりますが、渋谷にケルト&コブラの直営店がありまして。そこに頭蓋骨をかたどったブロンズの燭台が置いてあったんですけども。

 

 

 

 

(スタッフさんが実物を運んでくる)

 

 

 

 

『火の頭蓋』

 

 

画像リンク 『火の頭蓋』木彫オリジナル
 

 

 

 

 

【大森】

その頃、僕は美術の世界で全然駆け出しで。

美術家って全然食えないってイメージありますよね。食えない上にやっていることは仕事なのか趣味なのか、なんかあやふやなもので生きている人たちって。自分もその一人なんですけど、ちょっとそれに対するアンチテーゼもありまして、美術の世界だけに留まるのがイヤだなあと、漠然と思っていたんですね。

で、会う人会う人に自分の夢みたいなことを伝えていく中で、いつかは美術の世界じゃない人たちとも仕事をしたいということを言っていたら、たまたま照井さんのところで働かれていた方がご縁をつなげてくれまして、で、照井さんの事務所に呼ばれましてですね……先ほどの浅田さんのお話と一緒です。僕はですね、待ち合わせの時間の1時間前に行きましたね、怖くて。遅刻したらえらいことだと思って、パーキングで1時間。

 

 

 

 

 

 

【客席】

(笑)

 

 

 

 

 

 

【大森】

それで事務所に行きましたら、照井さんが髑髏型の燭台を作りたいんだと。
あの、髑髏の燭台っていうのは、めずらしいものではないんです。それこそ世界中にある。ただ、その、世界中に髑髏の燭台っていうのがある中で、世界一のものを作ってくれと。
それを聞いて、ああ、えらいことだなあと思って。
でも、その場で、できますって言って帰ってきちゃったんですね。

 

 

 

 

 

【司会】

そこは言うしかないですね。

 

 

 

 

 

【大森】

で、できたのがこれなんです。

 

 

 

(大森さん『火の頭蓋』を手に取る)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原型は、僕、木彫家なんで、元は木で作ってるんです。

原型は照井さんがお持ちになってます。
それの型を取って、金属を流し込んで作るものが鋳物と言われるもので。
いわゆる校長先生の像みたいな。

 

 

で、ここ(顎の部分)が外れまして、ここにキャンドルを乗せて火を灯すと、
(頭蓋部分をかぶせる)ここの後ろの透かし彫りから炎の光が、レースみたいな感じで照らし出されるという作品なんですけど。

 

 

画像リンク 『火の頭蓋』ブロンズ製

 

 

 

 

 

 

【客席】

おおー!

 

 

 

 

 

【大森】
あ、年号がある。2003年? 2003年のお仕事ですね。

 

 

 

 

 

 

【浅田】

そんな前ですか。

 

 

 

 

 

 

【大森】

そうですね。これが本当に異業種の方とのお仕事をしたという意味では一番最初だったと思いますね。
この作品のおかげで、それこそいろんなアパレルさんと仕事をさせていただいたり、
ミュージシャンと仕事させていただいたり、それが繋がって今日があるわけなんですけども、ほんとに、そのきっかけです。
浅田さんも照井さんとのお仕事がいろんなことのきっかけだったというのを聞いて、これも面白いご縁だなと思いますね。

 

 

 

 

 

 

【浅田】

今、僕ら3人がこうしてつながっているのも、照井さんのおかげですもんね。
でも『火の頭蓋』、これ欲しかったなあ。

 

 

 

 

 

【大森】

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

【浅田】

買えませんでしたけど(笑)

 

 

 

 

 

【司会】

スタッフの私も買えませんでしたから(笑)

あのー、お寺の住職さんがお買い上げになりましたね。
通りすがりに外から見かけられて、とても力がある、と仰って。

 

 

 

 

 

【大森】

そんなお話もありましたね。美術評論家に褒められるより嬉しかった。

もうお出しすることもないんですが、随分といろんなことにつなげてくれました。

 

※『火の頭蓋』はブランド解散に伴い販売終了。
 

 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □

 

 

【大森】

(アパレルブランドの話から)浅田さんの作品てこう、服がどれもかっこよかったり、かわいかったり、お洒落だなあと思ってるんですけど、
洋服もともとお好きだったんですか?

 

 

 

 

 

 

【浅田】

そう…ですね。現代物を描いていた時は、リアルな高校生が部活で履く靴みたいなのも一所懸命調べて描いていました。 洋服も個性じゃないですか。キャラクターごとに、こいつはこういうものを選ぶんだっていうのを細かく決めていく感じで。 でも、自分が好きなものもどんどん入れたくなっちゃうんだけど。そうなるとちょっと、キャラクターと合わないな、合わないんだけど好きだからイラストでは着せちゃえとか(笑)

 

 

 

 

 

【大森】
普通に発売できちゃうんじゃないかぐらいのデザインで。

 

 

 

 

 

【浅田】

いやいや、絵の中のフォルムなんで。オリジナルのデザインだと実際に着たらちょっとおかしいだろうっていうものも多いですよ。 絵で描いて映えることへのこだわりですから。

 

 

 

 

 

【大森】

服がかっこいいとそれで一枚、絵が成立しますよね。

 

 

 

 

 

【浅田】

そうですね。なのでそれを決める、そこに至るまでが、いつも大変で。苦労してます。


 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □

 

【司会】

彫刻家さんという立体の作品を作られているお仕事と、漫画家さんという紙面、平面に線を引いて作品を生み出されているお仕事。

違う手法を取られている中で、お互いが感じる共通点などありますか?

 

 

 

 

 

 

【大森】

自分で言うと恥ずかしいですけど、ちょっとこう空想の入れ方が、男好きのするロマンチストなところはあるような気がする。

動物にツノ生やして見たり。そういう癖はあるような気はしますけども。

浅田さんの作品を初めて見た時はそう思いました。

どうですか? 浅田さんの方は。

 

 

 

 

 

 

【浅田】
そう…ですか?

 

 

 

 

 

 

【客席】

(笑)

 

 

 

 

 

 

【大森】

あれ? 浅田さんは女性が好き? 

あ、いやいや(浅田さんが女性好きとか、そういう意味ではなくて、女性に好まれるところのロマンチックが、の意)

 

 

 

 

 

 

【客席】

(笑)

 

 

 

 

 

 

【浅田】

でも、やっぱり昔の少年漫画は、男の子、男性がかっこいいものが多かったと思うんですよね。「あしたのジョー」とか。
そういうのがやっぱりふつうに刷り込まれていて。というのはあると思います。

 


 

 

 

 

【大森】

骸骨はちっちゃい頃から好きだったんですか?

 

 

 

 

 

【浅田】

骸骨は、そうですね。

 

 

 

 

 

【大森】

僕もそうなんです。小学校の図工の課題に片っ端から骸骨を(笑)

 

 

 

 

 

 

【司会】

お母さんは心配したでしょうね(笑)

 

 

 

 

 

【浅田】

「人造人間キカイダー」って番組があって、ハカイダーって出てくるじゃないですか。
あっれがかっこよくて、かっこよくて! 小学校低学年の時、ハカイダーの脳みそのシワを描くのは俺が一番うまいぞって。

 

 

 

 

 

 

【客席】

(笑)

 

 

 

 

 

【浅田】

脳みそって、田島さんじゃないんだから(笑)
(漫画家の田島昭宇さん。浅田さんと親しい)

 

 

 

 

 

【大森】

脳みそですか。浅田さんは中に行くんですね。中に。

あ、そう。後で話が出ると思うんですけど、僕の彫刻家になる前の夢が警察の鑑識官だったんです。

 

 

 

 

 

【浅田】

完全にアレですね、ちょっとシリアルキラー的な。

 

 

 

 

 

 

【客席】

(笑)

 

 

 

 

 

【大森】

そう、彫刻家になったおかげで真っ当に生きてこれました(笑)
 

 

 

続く。

 

 

 

 

 

目次

 

 第1回 黒い壁の中へようこそ(5/17 UP)

 第2回 義眼神父と火の頭蓋(5/22 UP)

 第3回 コラボレーションはトレードマークで(5/26 UP)

 第4回 アシスタント制と工房制(6/4 UP)

 第5回 やりたくない仕事はありますか?(6/6 UP)

 第6回 うみんちゅ君(6/7 UP)

 第7回 まんが道とはぐれ刑事純情派(6/10 UP)

 第8回 上村一夫さん(6/20 UP)

 第9回 浅田さんと大森さんに訊いてみたいこと(6/20 UP)

第10回 少し先の未来(6/20 UP)

 

全10回を公開しました。

 

 

 

 

 

 

浅田弘幸×大森暁生×Cafe Swordfish

スペシャルコラボアイテムのご注文はこちら

 

延長後のオーダー締切は

6月25日(日)夜10時まで

とさせていただきます。

よろしくお願いいたします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅田弘幸 / HIROYUKI ASADA
漫画家。1968年神奈川県横浜市生まれ、鎌倉市在住。1986年に集英社月刊少年ジャンプでデビュー。
代表作に「眠兎」「蓮華」「I’ll」「テガミバチ」。アニメのキャラクター原案や、イラストレーターとしても活動中。
筋肉少女帯のCDジャケットや宮沢賢治作品、中原中也詩集の表紙など手掛けている。

https://twitter.com/asadercover

 

 

 

                                   Photo by Nojyo

 

 

大森暁生 / AKIO OHMORI

東京都出身 愛知県立芸術大学美術学部彫刻専攻卒業。
彫刻家 籔内佐斗司氏のアシスタントを経て独立。氏

国内外のギャラリー、百貨店、アートフェア、美術館等での個展や展示に加え、
多くのファッションブランドとのコラボレーションなど幅広く作品を発表。
フォトエッセイ+作品集「PLEASE DO DISTURB」(芸術新聞社)、
大森暁生作品集「月痕 つきあと」(マリア書房)を刊行。

akioohmori.com

 

 

 

      

                                ©️HIROYUKI ASADA, Cafe Swordfish

 

 

カフェソードフィッシュ / Cafe Swordfish
とある街の5街建てビルの屋上にあるという架空のカフェ、ソードフィッシュ。
その物語をモチーフに、様々なジャンルのクリエイターが創作活動を行う、コンテンツサイト&オンラインストア。

cafeswordfish.com

 

 

 

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