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対談 浅田弘幸×大森暁生(5)

 

 

 

 

 

浅田弘幸×大森暁生トークライブ at D.B.Factory

花の咲く場所 -Flowers Always Bloom Somewhere-

 

 

 

 

 

去る2017年5月4日に開催した、

漫画家・浅田弘幸さんと、彫刻家・大森暁生さんのトークイベントの模様を

全10回にわたってリポートします。

 

 

司会・テキスト 大塚茂之(Cafe Swordfish)

写真 縣 ケンジ/ AGATA Kenji ※記事中、表記のないものすべて

 

 

 

 

 

 

 

第5回 やりたくない仕事はありますか?


 

 

 

やりたいことだけをやって生きていく。

そんな夢のような人生を誰しも願うわけですが、なかなかそうもいかないのが実際のところ。

それぞれ天職と言える仕事をなさっているお二人についてはどうなんでしょう。

今回のイベントが「やりたくない仕事」ではなかったことを祈ります……。

 

 

 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □

 

 

【大森】
僕の作品は職人的と言われることも多いんですが、美術の世界が職人さんの世界と違うのは、「作品」として発表すると、技術があろうがなかろうが、世の中に需要があればそれで全てOKになってしまう。それは美術の素晴らしいところでもあり、怖い、危うさでもあるというか。

若いうちは、これじゃダメだと言われるような経験が、自分はあったほうがいいんじゃないかと思うんですよね。技術的なことに関していえば。

 

 

 

 


【浅田】
漫画の世界では編集者がいて、その人とのやりとりで作品を作っていくって過程があるんですよ。

僕がずっとやってきたジャンプみたいなところでは、その編集さんがOKを出さなければその上の編集長には全く通らないし、そうなると当然掲載される作品にならないわけで。本当にそこで苦労している若い子もものすごくいると思うんですけど。

彫刻家には、そんな存在っているんですか?

 

 

 

 

 

【大森】
それがまあ、本当は(作品を取り扱う)画廊さんであったりすれば一番いいんでしょうけれど、画廊さんていうのはもちろん作品を売るのが仕事ですから商業的なジャッジというのがあって、それだけをそのまま受けちゃうと、作家としては危ういこともありますよね。

 

 

 

 


【浅田】
すごい似てますね、それじゃあ。

 

 

 

 

 

【大森】
その編集者さんの能力もありますよね。

 

 

 

 


【浅田】
能力もそうだし、相性も大事ですね。でも編集者の基本は会社に利益をもたらす立場というか、その作品を売ることが目的ですから。そこと自分のやりたいことと、どうすり合わせるかっていう匙加減は、結構大きい問題ですよね。

 

 

 

 


【大森】
まあ、画廊さんであれば、作家を育てていこう、見守っていこうっていう人もいらっしゃって。そういう画廊さんは長期的に考えてくれる場合もあります。経済的な余裕ということが大きいのかもしれませんが、それがご時世的にだんだん世知辛くなってきている気はしますね。

 

 

若い作家さんには、そこでやっぱり良きアドバイザーとして二人三脚でやっていきつつも、自分の中で自分の仕事の基準……なんというか、仕事というのはそれぞれの幸せと直結している気がするので、その自分の幸せの基準まではブレないようにしてもらいたいなと思いますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

□ □ □ □ □ □

 

 

【大森】

やりたくない仕事はありますか?

 

 

 

 


【浅田】
……(無言で笑顔)

 

 

 

 

 

【客席】

(笑)

 

 

 

 


【大森】
あんまり聞いちゃいけなかったかな(笑)

 

 

 

 

 

【司会】
それは誰が得する質問ですか(笑)

 

 

 

 

 

【大森】
いや、それを乗り越えて今があるとか、そういうエピソードが聞けるかなと(笑)

 

 

 

 

 

【浅田】
そうですねえ。やりたくないことが、やらなきゃいけないことになった時に、いかに自分の方に引き寄せるかっていう。

そういう意味では、やりたくないことをやったことはない、ですね。

 

 

 

 

 

【大森】
ああ、ああ、はい。

 

 

 

 

 


【浅田】
全て、やっていいものに変えるしかないというか。
だって、言ってしまえば『I’ll』っていう漫画は、「バスケットボールのスポーツ漫画」という題材で渡されて。 それ俺に描かせる?って思った(笑)

 

 

でも、色んなことを突き詰めて考えているうちに、これだったら自分のものにできるっていうところに持っていって。連載後半はバスケシーンも、もっともっと描きたいと思いながら原稿に向かってました。

 


やっぱりその若い頃っていうのは、自分の全力でやりたいことに最初からOKを出してもらえるって、なかなか大変ですから。与えられたものをいかに自分の表現に変換するか、ということは常に考えていた気がしますね。そうすることで、結果的に自分が描きたいものにしていける。

 

 

 

 

 

 

【大森】
若い頃に「好きにやりなよ」って言ってくれる人もいるんですけど、自分は「あんまり期待されてないんだな」って受け取ってましたね。商業的にはね。そう言ってくれているのにくやしかったりして。

 

 

本来、作り手としては嫌うことなんでしょうけど、自分がやっていることをお金に変えようとしてくれている方が、自分が求められている実感があって。でも、そのために「こういうのを作って」と言われるとすごく反発しますけど。

 


あとは彫刻は、漫画もそうでしょうけど、手間がかかりますからね。イヤな仕事だと完成しないですよ、絶対。もう途中で嫌になる(笑) 気乗りのしない、これくらいの(小さい)作品より、本当にやりたい、作りたいなあっていうこんな大きなものの方がよっぽど早くできますから。

だから、そうなる前に、向こうの要望があったとしたら、それを揉んで揉んで、自分がこれなら作ってみたいというところまで持ってきてから始めるようにしてますね。

 

 

 

 

 

【司会】
そういうことで言えば、浅田さんのこのコラボイラストは、早かったですね。

 

 

 

 

 

【浅田】
はい。他に、先にやらなければいけないことがあるのに(笑)
大森さんから資料の写真をいただいた時に、うわあ、描きたい! と思って。

本当は何点か描こうと思っていたんですけど、それはさすがに、色々な人に怒られちゃうなと(笑)

 

 

 


続く。

 

 

 

 

 

 

目次

 

 第1回 黒い壁の中へようこそ(5/17 UP)

 第2回 義眼神父と火の頭蓋(5/22 UP)

 第3回 コラボレーションはトレードマークで(5/26 UP)

 第4回 アシスタント制と工房制(6/4 UP)

 第5回 やりたくない仕事はありますか?(6/6 UP)

 第6回 うみんちゅ君(6/7 UP)

 第7回 まんが道とはぐれ刑事純情派(6/10 UP)

 第8回 上村一夫さん(6/20 UP)

 第9回 浅田さんと大森さんに訊いてみたいこと(6/20 UP)

第10回 少し先の未来(6/20 UP)

 

全10回を公開しました。

 

 

 

 

 

 

浅田弘幸×大森暁生×Cafe Swordfish

スペシャルコラボアイテムのご注文はこちら

 

延長後のオーダー締切は

6月25日(日)夜10時まで

とさせていただきます。

よろしくお願いいたします!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浅田弘幸 / HIROYUKI ASADA
漫画家。1968年神奈川県横浜市生まれ、鎌倉市在住。1986年に集英社月刊少年ジャンプでデビュー。
代表作に「眠兎」「蓮華」「I’ll」「テガミバチ」。アニメのキャラクター原案や、イラストレーターとしても活動中。
筋肉少女帯のCDジャケットや宮沢賢治作品、中原中也詩集の表紙など手掛けている。

https://twitter.com/asadercover

 

 

 

                                   Photo by Nojyo

 

 

大森暁生 / AKIO OHMORI

東京都出身 愛知県立芸術大学美術学部彫刻専攻卒業。
彫刻家 籔内佐斗司氏のアシスタントを経て独立。氏

国内外のギャラリー、百貨店、アートフェア、美術館等での個展や展示に加え、
多くのファッションブランドとのコラボレーションなど幅広く作品を発表。
フォトエッセイ+作品集「PLEASE DO DISTURB」(芸術新聞社)、
大森暁生作品集「月痕 つきあと」(マリア書房)を刊行。

akioohmori.com

 

 

 

      

                                ©️HIROYUKI ASADA, Cafe Swordfish

 

 

カフェソードフィッシュ / Cafe Swordfish
とある街の5街建てビルの屋上にあるという架空のカフェ、ソードフィッシュ。
その物語をモチーフに、様々なジャンルのクリエイターが創作活動を行う、コンテンツサイト&オンラインストア。

cafeswordfish.com

 

 

 

| 対談 浅田弘幸×大森暁生 | 16:47 | - | - | pookmark |